御神酒の口(おみきのくち)、知っていますか?
神に捧げるお酒が御神酒、それを入れるのが御神酒徳利(または瓶子)、御神酒徳利の口に挿して飾るのが御神酒の口です。
神様を大切に思う気持ちの表れとして飾られ、また福を招く縁起物としても大切にされてきました。
松本で御神酒の口を作っているのは、矢澤商店しか残っていません。松本の御神酒の口はとても繊細で美しく、誇れる逸品です。
御神酒は神棚に供えるもので、二つで一対となっています。神棚のあるお家に住んでいる、という方は御神酒の供え方もご存じかと思います。
そこに御神酒の口を飾るかどうかは個人の考え方でいいと思うのです。
ですが、神棚がなければ御神酒の口は飾れないのでしょうか。
例えば、お正月の鏡餅。
神棚や床の間にどーんと飾りたいところですが、それがないお家でも、皆さんお正月になればそれっぽい所に飾っていませんか?
玄関、リビング、キッチン。それぞれに工夫してお正月を迎えているのではないかと思います。
御神酒の口も同じように工夫すれば、もっと多くの人に楽しんでもらえるのでは、と考えました。
玄関のドアを開けたら、御神酒の口が迎えてくれる。リビングの飾り棚の大切な人の写真の横に御神酒の口が一緒に居てくれる。
花を飾るように、この美しい工芸品を愛でてもいいと思うのです。
工芸は暮らしと共にあるもの。人々の暮らし中で求められなくなったとき、その工芸はなくなってしまいます。装飾の意味が強い御神酒の口は、皆さんの考え方によっては、驚くほどの速さで消えてしまう可能性があります。
そうなる前に、一度見て欲しいのです。
飾る時は、御神酒徳利、御神酒の口は東向き、または南向きにすると神様に気持ちが伝わりやすいと、教えていただきました。
家に迎えた神様の、御座する場所の門の代わりと考えて配置するといいそうです。
飾る期間に決まりはなく、年末に新しいものに交換して新年を迎えると、より本来の形に近づくと思います。
御神酒の口は4月21日、松本ジャポニスム
四柱神社境内でご覧いただけます。
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