ご無沙汰しております。
松本ジャポニスムです。
その後皆さまお元気でお過ごしでしようか。
こちらはと申しますと、ここのところ頭の中が浪曲のことでいっぱいになっています。
というのも今年の夏、縄手通りで浪曲をやろうとしているからなんです。
浪曲師、そして曲師を招いての本格口演なのですが、どうも皆さん浪曲を知らないらしいのです。
「次郎長、わかんない?」
「︎旅ゆけば〜、知らない?」
「江戸っ子だってねぇ…知ってる?」
「うなりやベベンは?」
「俵星玄蕃は?三波春夫の」
色んなこと言ってみましたが、皆さん首を振るばかり。
そうかぁ、知らないんだなぁ。
浪曲は、落語や講談に並ぶ寄席芸能です。比較的歴史が浅く、江戸時代にフワフワ〜っと存在していた芸能が「浪花節」という名前で組織を作ったのが明治に入ってすぐのことで、その後浪曲と呼ばれるのが一般的となりました。
落語や講談とは違い、節(唄う部分)と語りと三味線が混ざり合う不思議なパワーのある芸能です。分かりやすく言うと演歌と落語を交互にやっている感じでしょうか(怒られるかな)。
語りと唄が入り交じるパターンは日本では珍しくないんですよ。
文楽の義太夫、新内や清元も語りと唄を交えながら進行しますし、日本の芸能の中では少しも変なことではないのです。
落語、講談は高座に座布団、浪曲はテーブルを前に立って口演します。そして浪曲師の横には椅子に座った三味線弾き(曲師)がいて、浪曲師の顔をじっと覗き込んだまま三味線をつけます。この三味線が驚いたことに即興演奏で、浪曲師を見つめて息を合わせているのです。ここの緊張感も浪曲の面白さでしょう。熱を帯びてくると「ヨッ」とか「アオッ」とか掛け声が入ります。
聴き始めた頃はこの掛け声が気になって、集中できなかったものでした。
懐かしいですね。もう全然気にならない。むしろ聴こえないと「ノってないのかな」と思うくらい。
で、この浪曲が面白いんです。
あ、この話、まだまだ続きます。